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買わないことで実際いくら貯まるのか

「小さな決断の積み重ねは大きい」とみんな言いますが、実際に数字にする人はほとんどいません。理由は単純で、その数字は本当に見えづらいからです。買わなかった買い物は、レシートも通知も明細への記載も残しません。

そこでここでは、実際に数字をつけた1か月分を紹介します。以下の数字はごく普通のものです。そして最後の章では、なぜこの合計が見た目より小さいのかについて説明します。

ある1か月を書き出してみる

それぞれの行は、あと少しで何かを買うところだった決断です。数字は2つずつ、使うつもりだった金額と、実際に使った金額です。

週 決断の内容 使うつもりだった額 実際に使った額 貯まった額
1出勤前のコーヒー、4日間¥2,000¥0¥2,000
1金曜のテイクアウト、自炊にした¥3,500¥800¥2,700
1仕事帰りの2軒目¥2,000¥0¥2,000
2ランニングシューズ、今の靴で十分だった¥14,000¥0¥14,000
2外食ランチ、2回お弁当を持参¥3,000¥0¥3,000
2動画配信サービス、無料期間後に解約¥1,490¥0¥1,490
3コンサートチケット、思いとどまった¥8,000¥0¥8,000
3スマホの容量アッププラン、今のままにした¥1,500¥0¥1,500
3帰りのタクシー、半分歩いてバスにした¥2,200¥300¥1,900
4閉じたタブの中のジャケット¥9,500¥0¥9,500
4食料品、店全体でプライベートブランドに¥8,800¥7,000¥1,800
4自転車を買い替えず修理した¥24,000¥4,500¥19,500

12件の決断です。うち4件は「一部だけ」の決断で、お金は使ったものの、予定より少なく済んでいます。貯まった合計は67,390円です。

この数字が意味すること、意味しないこと

この67,390円は、貯蓄口座には現れていません。どこにも送金は発生していません。この金額は、「デフォルトの選択をしていたらこの1か月にかかっていたはずの金額」と、「実際にかかった金額」との差です。

この違いは重要です。この試みを正直に扱うには、ある本物の反論に向き合う必要があるからです。

反論:そもそも買うつもりがなかったものもあるのでは

この反論は「決断を数える」という方法に対するもっとも強力な批判であり、しかも正しい批判です。

24,000円の自転車がわかりやすい例です。買い替えは本当に真剣に検討されていたのか、それとも 19,500円と書くと気分がいいからリストに入っているだけなのか。その判断を監査できるのは本人だけであり、予定額を水増ししたくなる誘惑こそが、こうした合計を信じられなくしてしまう原因そのものです。

数字を誠実に保つルールがひとつあります。実際に払ってもいいと本気で考えていた金額を書くこと。もし 24,000円での買い替えと4,500円での修理のどちらにするか本気で悩んでいたのなら、予定額は 24,000円です。もし単に20万円の自転車をネットで見かけてタブを閉じただけなら、その自転車を20万円の決断として数えてはいけません。もともと自分が使うはずのないお金だったからです。

このルールを守れば、数字は信頼できるものであり続けます。無視すれば、数字は作り上げたスコアボードにすぎず、2週間もすれば信じられなくなり、その後は使わなくなります。

合計は実際どこから来ているのか

67,390円の内訳を見てみましょう。自転車の修理とジャケットという2件の決断だけで 29,000円、月全体のおよそ43パーセントを占めます。もっとも小さい6件を合計しても 10,690円ほどにしかなりません。

この結果は、一般的に言われていることとは逆です。よくあるアドバイスは日々の小さな買い物を我慢することについてのものですが、ここでは日々の小さな買い物はお金全体のごく一部です。頻度は少ないものの金額の大きい決断こそが合計の大部分を作っており、しかもそうした決断は、意識的に記録できるくらいはっきり自覚している決断でもあります。

だから、コーヒー1杯まで全部書き留めるのが面倒に感じるなら、無理にやる必要はありません。だいたい2,000円を超える決断だけを捉えれば、労力のわりに数字の大部分をつかまえられます。

普通の1か月はどんな感じか

1か月に12件というのは週3件ほどのペースで、趣味にするほどではないけれど気をつけている人にとって現実的な頻度です。合計は月によってかなり振れます。修理か買い替えかという決断がある月は、ない月とはまったく違って見えます。

比較的安定しているのは「形」のほうです。小さな記録が多く、大きな記録が数件、そして白黒どちらかしか記録できないトラッカーなら丸ごと捨てられてしまうような「一部だけの決断」がいくつか。今回の月では、この一部だけの決断4件だけで25,900円、合計のおよそ 38パーセントを占めており、この4件はどれもノースペンドチャレンジの連続記録方式では「失敗した日」として扱われていたはずです。

この数字をどう扱うか

2つの選択肢があり、そのうち本当の意味で貯蓄方法と呼べるのは片方だけです。

ひとつは、合計を情報として扱うことです。普通の1か月に6万円台の決断が含まれていると知るだけで、翌月の感じ方が変わりますし、それだけでも1件10秒の記録に見合う価値があります。

もうひとつは、実際にお金を動かすことです。週の終わりに、その合計を貯蓄用の口座へ移します。この送金が記録を残高に変えるステップであり、数字を「架空のもの」から実体のあるものに変える唯一の方法です。ただし送金には、記録にはない制約、つまり「本当にそのお金が移せる状態にあるか」という制約も出てきます。

こうした合計が具体的な目標にどれくらいで届くか知りたいなら、 計算ツールがその割り算をしてくれます。この月の平均である週16,800円ほどのペースなら、 24万円の目標は14週間ほどです。

自分の1か月で試してみる

この作業は、続けるかどうかにかかわらず一度はやってみる価値があります。ほとんどの人はこの数字を一度も見たことがないからです。ブラウザで使えるトラッカーや印刷できるシート、あるいはスマホのメモを使いましょう。1件につき2つの数字、正直な金額で、4週間続けてみてください。

Keep the Diffは同じことを、合計の計算まで含めてやってくれます。iPhone、iPad、Mac、 Apple Watch、Windows、Androidで無料です。お金を数えるべき理由は、英語版の別の記事で扱っています。


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